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七ノ巻 平成11年10月刊
          
     
前田日明編集長対談
 論客 福田和也

吉田松陰の行動原理は 天にかなう行動とは何か? だった

松陰の情熱の起因から、英霊に遺骨収集、乃木大将と二百三高地、
 儒教と国学、皇室観、そして終着は現代若者論。話題は多岐に及んだが、
  • 論客の博識が凝縮された各論に二時間半の対談は
    一刻であったかの時空を味わった。
  •            特集 吉田松陰ー大義(公)と魂(私)           
    ◎松陰の実践哲学
     狂と死へ導く異端の聖職者◆古川 薫
    ◎シタイナー教育と松陰
    「飛ぶが如し」 ◆小杉英了

     ◎教師・松陰の特異性
     維新んも志士を孵化した教場「松下村塾」◆三浦 実

     
    ◎仮想鼎談¥〈吉田松陰・磯部浅一・三島由紀夫〉
     留魂のまほらま◆橘 薫

     
    ◎松陰待望論応答扁
     吉田松陰が今の日本に……◆井沢元彦・一坂太郎・鈴木邦男・林田 孝・山中秀夫


                 
      
      六ノ巻での「歴史教科書をつくる会の歴史観を問う―日本、日本人とは何か」
    に対する返答が、小林よしのり氏側から届いた。
    それは一読、見事な批判文だが…… 本誌も、その「返答」に対し答えた。
    思考のリングス 其ノ二
    監修・小林よしのり 筆・時浦 兼 日本人・前田日明氏への返答
    思考のリングス 其ノ二◆杉山頴男(武道通信発行人)
        薫習が育む独自性がある   

    新連載
    中学生にもわかる「兵法」 ◆兵頭二十八
    「多対一」で勝つ
    刀剣初学者講座 ◆高山武士
    鑑定・鑑賞は美の分野
    神道とは何か ◆鎌田東二
    環太平洋祭祀園と神道の感覚

    洋式軍隊の前に刀と槍の武士の戦闘で挑んだ神風連。 三島由紀夫は「純日本の抵抗精神」讃え、自らもまた…
    三島由紀夫と神風連山内由紀夫

    ■好評連載
    [日本の中の武道]キリスト者の中の武道 ◎松岡正剛
     [日本の美意識] 綺麗  ◎風柳祐生子   
     侍の作法と嗜 第二十九項〜第三十一項  ◎名和弓雄     
     武道家のための日本武道医学/救急法(七)◎S・パリッシュ   

     日本伝柔術の世界(七)◎小佐野 淳      
     
    ■床几
    松田輝夫(松陰神社学芸顧問)●明治維新胎動の地      
    山内健生(拓殖大学・研究員)●吉田松陰の辞世
    小松直之(漫画家)●生きていた火縄銃     
    伊藤 毅(大和武道製作所)●剣道職人の提言  
    藤原靖子(読者論客)●「天景」の贈り物
     無銘刀宣言   
     この邦が内側から崩れていく音が聴こえる。
    かつて死を賭けて邦を守った者の留魂が
    人の心を蘇生し、正邪の垣根を造ってきた。
    留魂を留める心を失って久しい我ら邦人。
    【無銘刀】
    『武道通信』もお蔭をもちまして一周年。まさに光陰矢のごとしである。他に気のきいた感慨にふける言葉を捜したが、この使いこなれた諺に勝るものはない。「あわてる乞食はもらいが少ない」「勝って冑の緒をしめよ」。挙げたらきりがないが祖母からよく、この手の諺で諭されてきた。この諺など今でも耳に痛く響く。
     尋常小学校しか出なかった祖母より学問らしきものはしたが、当時の祖母の歳になっても、私が弁じることは諺で事足りてしまうのではと不安である。毎巻この欄で祖母の想い出を頻繁に語って恐縮だが、私が「典型的日本人」を造形し、日本人のあり方を考えるとき、その身と肉声を知っている一番確かな日本人が祖母であるからだ。
     対談論客の福田和也さんから遺骨収集の話が出た折も、町角に立つ傷痍軍人の姿を見ると、私の手を引き、わざわざ通りを横切り、首から吊した白い箱に必ず硬貨を入れていた祖母を想い出した。
     子供心に白衣から覗く義足、白い箱を持つ義手は不気味だった。だが、その白衣の元日本兵の前で、少年の私が直立不動の姿勢で敬礼しているあり得たかも知れない光景を夢想する。たとえ敗れたりとはいえ、手足を失い祖国に帰還した兵に敬礼する
    b植民地揩フ少年が数多いたという、もう一つの戦後日本のあり得かも知れない光景を、この邦が内から崩れていく音を聞きながら夢想する。
    ・私たちが松陰の無垢を望むことすらできないのは理想を知らない」からと福田和也さんが書かれている。「理想の邦」を放棄したゆえ、邦の理想のため討ち死した無垢な遺骨を、いまだ異郷にうち捨てておくのだろう。我ら戦後世代とて同罪だろう。
     そんな我らの骨など拾ってくれる者など誰一人いないことを覚悟せなばならない。老人介護の話ではない、我らの魂を誰が留めるかという話だ。(杉山頴男)