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武道通信十九ノ巻

特集 兵法を放棄したこの国を憂うとき――
「兵頭二十八」を読む

追憶 坂井三郎 二年忌




編集長談言

前田日明「二〇〇二年の反安保闘争」
アメリカのイラク攻撃を止めさせるアピール


特集 「兵頭二十八」を読む

★軍学者は語る

特集巻頭にあたり、軍学者に問うてみた
なぜ軍学者と名乗るのか

軍学者の奥底にある「近代日本の宿命」とは?
武士道と宗教と靖国

★軍学者の試し合い
対談◆論客・『葉隠』論者・嘉村 孝

「武士道と日本」

『葉隠』問答から始まり、「国とは」「憲法」「刑法」
「鎌倉時代」「靖国」を語り合う前巻につづく超ロング対談。

 

<『葉隠』問答のさわり>

兵頭 明治15年の『軍人勅諭』は、大原幽学(1853年自決)の武士道説と妙に重なるんですよね。それから、乃木大将の『武士道問答』には「武士道は忠君をもつて精髄と為し…」「唯だ如何にすれば陛下の御信頼に応ずるを得べきか、又如何にすれば陛下の軍人たる面目を保つを得べきかと心をくだくより外なきなり」とあるのがじつに『葉隠』的に思えます。ただ、夢窓国師がくらべていわく、尊氏は寛仁だったが、そのために世は乱れた。頼朝は罰が厳重だったが、おかげで世の中は治まったと。そもそも「忠君」とは朱子学の考え方で、武士道とは別物なのですよね。

嘉村 軍人勅諭の美しい言葉で納得してしまう人間ではダメ。軍隊の中では上官の命令に従わなければならないが、ここにおいても出来る限り法治主義が働くことにより合理的な命令もくだせる。究極的に言えば国民の代表が作った法律による行政の原理が、組織内部においても完結しなければならないと思うのです。そして、自分の代表が作った法律だからその諸体系は自分の家族を守ってくれるだろう。だからこそそういう国を守るんだ、とならなきゃ本当の力が出ない。つまり強くなれないと思います。

★読者が読む「兵頭二十八」

常識を打破する一行  松永太郎

<世界の誰一人気づかない事実>を多くの読者と共有したい孤高の軍学者  山本伊佐夫

封印された学問、軍学とはなにかを事実正視を企てる白皙の哲人

●加藤健一郎/兵頭流兵法

●適菜収/兵頭師との旅

★兵法とは何か――現代日本が失いしもの

兵法と武士道     加藤花当斎
多くの兵法家が修業の果てに得た人間の道が武道

西洋戦史の天才たち  横山栄一
世界の戦史に光り輝く天才たちに共通した戦術とは

兵法なき国家     憂国騎士
国家の本質を忘却したゆえの退廃


追憶 坂井三郎 二年忌

 坂井三郎 永久に

前田日明 「坂井三郎の漢(おとこ)振り」

山中志朗 「坂井分隊士の声がする」

松下大圭 「零戦の空戦哲学」

「英霊の伝達者、坂井三郎に訊け!」
Webオリジナル一挙掲載


★新連載

田中光四郎 「思無邪」――アフガンのサムライ・聞書
第一話 柳生宗矩「兵法花伝書」は私の師匠

山本伊佐夫  鉄砲は卑怯な術か武道か
         ――本邦初の「鉄砲武術論」 
嘘と誤解の鉄砲史観のもの申す


★武道の中の日本<十五>

松岡正剛 越境としての武士道(上)
吉田松陰の陽明学武士道は「越境」によって得た武士道だった

★野呂田秀夫の前田日明の肉体と魂<二>