前田
5、6年前からお会いしたいと熱望しておりました。謎の「水瓶割り」の達人にお会いできて感激しております。知人から瓶を斬っている写真をいただいたんです。「えっ、この人、一体誰だ?」とずっと聞いて回ったんでが誰も知らなくて。あるとき虎ノ門にある刀剣店へたまたま行った折、その話をしたら学研(学習研究社)の古岡副社長さんだよと教えられて二度びっくりしたんです。今日は日本刀の斬れ味についてのお話をお聞きできると思い、喜び勇んで来ました。
古岡
最初、対談の打診を受けたとき、興味本位で扱われるのではないかと思ったんですが、『武道通信』を読ませていただいて、今の日本にこのような本があることに嬉しく思ったんです。と同時に、まだまだ日本刀への誤解があると思い、そのことを話したく思いましてね。
前田
実はその前にお願いがあるのです。自分、日本刀の趣味が高じまして、千葉の松田泰次刀匠に弟子入りしまして作刀を習っております。松田刀匠は鎌倉時代の刃文を再現することでは最右翼の刀匠です。何振りかは鎌倉時代のものとしか見えないものがある、と言われています。この刀を観ていただけら今の刀匠でもこういうものが打てるのか、とわかってもらえると持参しました。
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