■統帥権
|
“国民的作家”司馬遼太郎 大日本帝国憲法下における軍部の天皇への直属 内閣からの独立を指す 「統帥権」 軍部の暴走 大東亜戦争への道 と分析
松本 → 明治憲法 全部間違っていたわけではない 統帥権があったが 伊藤博文 山県有朋 シリビアンコントロール的に使っていた ところが元老の彼らがいなくなった後 軍人 天皇の名を使って統帥権という「魔法の杖」を手に 政界に文句を云わせない構造になっていく 大正四年 国会で 斉藤隆夫 「天皇に大権があるのだから国会が予算問題で何を云おうと 天皇の裁可権(天皇が議会の議決した法律案や予算案を承認する行為) で ひっくり返すこともできる これは問題だ」 あの時点で政治家が憲法改正しておけばよかった
木村 → ロンドン軍縮条約(1930)以降 政府と軍部の対立が進んでいく中 政府が天皇の統帥権を侵害したと 統帥権千犯{かんぱん}が出てきた 大日本帝国憲法「天皇は神聖にして犯すべからず」 天皇の大権をいじくることは難しいことだった
松本 → そう 憲法を<不磨{ふま}の大典>にしたこと これは戦後も同じ 統帥権というものを手にすれば 逆に国家を動かせる そう考えた天才がいた これが北一輝
木村 → 統帥権 できたきっかけ 西南の役 私兵で軍隊を作られたらまずいから 天皇陛下の下で軍隊を集め 最高指揮官を置いて ゲリラを封鎖する 統帥権問題 憲法11条と12条をどう解釈するかに起因がある 11条によれば陸海軍の統帥は国務大臣職務外であったけれど ここで云う「統帥」は用兵作戦場の軍隊の指揮/総帥と解釈されていた 一方 12条 軍の編成/常備兵額の決定を大権事項としながらも国務事項であると規定 このいわゆる「編成大権」 11条と関連して 軍は拡大解釈で12条まで統帥権を主張したのある そのころ政党勢力が伸びてきたから 軍部としては政党から受ける攻撃に反撃するため この統帥権を武器とした ところが北一輝がこれをさらに逆手にとって 国家改造をやろうとした
松本 → 天皇が総帥権を持ち その天皇の命令によって戦争を行い 国民が皆 その戦争に参加していくという形をとらない限り 西洋の帝国主義列強に対抗する国民軍はつくれなかった プロシア(ドイツ)に学んで憲法を作った プロシアの憲法学者シュタイン 日本憲法の一番良いところ それは天皇に統帥権があること
2025/08/17(日)  |
|