■平家蟹は元気ですか
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<一番最初にバタイユを読んだときに、これって「ワビサビ」のことを言ってるのかなと思いました> の次 前田 → ヴィトゲンシュタインを読んだときに なんだ吉本隆明の『共同幻想論』はヴィトゲンシュタイン読んだら書けているじゃないかとも思ったりして
学生運動とやらに関わった奴ら皆 俺も讀んでいた『共同幻想論』 おいおい 前田 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインなんかも読んでいたのか
杉山頴男事務所(武道通信)も二十五期目 来月で〆 二十六期へ突入 そんな時期に 九ノ巻 論客対談 讀んでいて 吉本隆明 ヴィトゲンシュタイン 読んでいたと確信する 論を発{た}てるには まず 己の体験がある これを下地に 論を組み立てていく ヴィトゲンシュタインの論 ヒントにした
松岡氏 → それそれ そういうところが前田さんは面白いよね よくそんなもん読みながらレスリングやってましたね
【前田 → バタイユは三島由紀夫がなぜ自決しやのかと一生懸命に考えていたと読んだんです。三島は晩年バタイユ、バタイユって言っているですね。】
補:バタイユ 西洋の伝統的なキリスト教的 観念的な精神を批判し 唯物的で功利的な思想からも外れて 新たな物質的価値を「消費(デパンス)」に見出す 非生産的な消費こそが人間の生における本来の「目的」であり 有用性の発想は この目的に尽くすための手段にすぎないとして 手段を目的に取り違えている近代人の生き方を批判
【松岡氏 → バタイユと稲垣足穂と唯識論を言い続けて死んでいるです。そのバタイユは人物でなくバタイユって費{つか}う の方うでしょう。 補:Waste、 消費する(*無駄の意味も} バタイユと一緒にやっていたミッシェル・レリスとロジェ・カイヨウ三人で『聖社会学』を書いたんですが、僕がフランスに行ったときは、もうバタイユもレリスも死んでいたんで、カイヨウと会ったんですが、やはりカイヨウもすごかった。 僕に会った瞬間に日本人は『平家物語』をちゃんと読んでいますかと言うんです。やばいなと思って、最近は読んでないと言ったら、じゃあ平家蟹は元気ですかって。 物語を動植物にまで当てはめて、情に訴えるような国の文化というものをあなた方は背負っているのだから、ちゃんといつまでも平家蟹の思う出しなさいとか言われてしまった。 映画監督のブニュエルとか、ああいう人たちもそういうものがありますよ。やはり東と西に分けるのは楽ですが、実はやはり西の中にも特別すごいのがワビサビを超えていたり、数寄{すき}の精神を超えていたりしていますね。】 【前田 → 「松岡正剛」でも、やばいとか、まだ焦るということあるんですね(笑)。】 【松岡氏 → 日々、反省ですよ(笑)。で、いま「遊び」というものをやり直そうかとなと 思っているのです。】
次は「あそび」と「すさび」
2024/05/26(日)  |
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